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<プリーチャーカールの場合>

上の場合と右の場合のフォームの違いは歴然。「本物の1回」を引き出すべく、体軸に高い緊張をかけた動作を身に付けよう。

サービス

二種類に大別できるクライアント

 

このような経験を改めて客観視しつつ、指導現場で自身のクライアントと向き合ってみると、トレーニング成果の個人差が出現する一因が、実はこの体軸にあることに気づき始めました。

 

指導現場では、「頑張っていてもどこか感覚が違う」という例に頻繁に出くわします。よく観察すると、怪我をする前の自分と怪我した後の自分、それぞれに近い動きをする二種類のクライアントに大別できました。ほんの少しの違いなのですが、セットの最終局面を注意深く観察するなかでいろいろ見えてきました。これらの経験を踏まえ、いろいろ試していくうちに「素質は作っていくものだ」という境地にたどり着いたのでした。

 

自分史上最大に体軸の強化をすれば、最大限にトレーニングの成果を得られるという法則に気がついたのです。

 

「本物の1回」を引き出そう

 

椅子にもたれ掛かるレッグプレスでさえも、最後の1回を脊柱起立筋に意識を向け、緊張を高めるとさらにもう1回余計に出来たりします。こうした場合、以前は偽物の限界回数だったわけですから、発達や向上の刺激として、不十分であったと言えるでしょう。体幹と大臀筋やハムストリングス、内転筋などの連動性は、あらゆるトレーニングで動作の安定とオールアウトに深く関与していると言えます。繰り返しになりますが、体軸の強化がウエイトトレーニングでの力の出し方を正しく、そして効果的にしてくれるのです。

 

体軸をかたちづくる「みぞおちから膝上まで」の範囲が覚醒してないために、実力の出せていないアスリートをよく見かけます。トレーニングプランのどこかに体軸パワートレーニングを追加し、使えていない筋肉や感覚を呼び起こしてほしいですね。

 

そして、一般の方々の日常生活においても、腰痛予防、下半身の強化、維持安定に、体軸パワートレーニングは効果的です。体軸の筋肉が衰えてくると年齢に関係なく、ウエストが太くなってきます。体軸の筋肉を強化しておくことはウエストを引き締めていくことにも繋がっていきます。

 

胴締めシットアップの効用

 

「ベンチプレス、スクワット、デッドリフト、あんまり頑張らなくても、これで増量成功しましたよ!」

 

身長195cmの細身のアスリートが語ってくれました。体重105kgとなり、4kgは、ごく最近の増量だということでした。彼が行っているエクササイズとは、プレートを保持した45度のシットアップでした。

 

これがものすごいやり方で、フラットベンチをスミスマシーンの下に置きます。スミスマシーンベンチプレスをしそうな気配から、私(パートナー)をベンチの端に立たせます。そして、スミスマシーンのシャフトをカバーで覆い、私の下腹部あたりに固定します。 ここから、シャフトの上に足を持ってきて、私の胴体を両脚で挟み締めます。胴締めの要領ですね。その態勢から、プレートを持ってシットアップを開始します(文章だけではわかりづらいので、写真をご参照ください)。土台となっている私自身にも強烈な負荷がハムストリングスにかかり、胴締めの力も強烈です。このシットアップボードを使わない胴締めシットアップを高強度で実施したところ、思わぬ増量が達成できたと言うのでした。

 

もちろん個人差もありますし、これがすべてではないと思いますが、私自身のトレーニング経験から、薄々わかってきたことと照らし合わせ、合点のいく出来事の一つでした。つまり、股関節周辺の筋肉と腰周り周辺の筋肉の同時収縮運動によって高い緊張を与えることで、体幹から骨盤周り、股関節に関係した筋肉への神経系統の促通が導き出され、全てのエクササイズに新たな感覚が生まれたものと考えられます。

こうしたアプローチにより、普段のトレーニングの反復回数が伸びたり、あと1回を「絞り出す」体環境を整えるとも言えるでしょう。

←胴締めシットアップ。本文中に紹介した選手の場合、プレートを保持して行うので、すさまじい負荷量になる。

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